生まれ月でみる日干「壬」
日干が壬の人を読むとき、生まれた月をあわせて見ると、輪郭が一気にはっきりします。
壬は「陽の水」、大海であり、大河であり、深い湖です。けれど同じ水でも、嵐に波立つ海と、静まりかえって深みを湛える湖では、まったく違う姿になります。
「日干『壬』の性格」を読んで、当たっている部分とそうでもない部分があると感じた方――その理由は、たいてい生まれ月にあります。
なぜ月で変わるのか
四柱推命では、生まれた月を月支(げっし)といい、その人が置かれた「季節」を表します。
水にとって季節は、そのまま流れ方です。
- 注ぐ先があるか(木や土がなければ、水は行き場を失う)
- 源があるか(金がなければ、出ていく一方になる)
- 凍っていないか(凍った水は動けない)
壬は形を持たない干です。器に合わせて姿を変え、どこへでも流れていきます。だからこそ、どんな地形に置かれたかが、そのまま生き方になります。
春に生まれた壬――流れ出す水
寅月(2月・立春〜)――堰の切れる水
春の入口。水が木を生じ、壬が与える側に回りはじめる月です。
溜めていたものが一気に動き出します。行動が先に立ち、荒れた場面でも沈みません。修羅場で腹が据わる壬です。
ただ、静かなときに落ち着かなくなります。わざわざ波の立つほうへ寄っていくところがあるので、そこは自覚しておきたい人です。
卯月(3月・啓蟄〜)――野を潤す海原
春のまん中。木の気がもっとも旺盛で、水が惜しみなく吸い上げられる月です。
周囲を潤す壬です。持っているものを出し惜しみせず、そばにいる人が楽になります。楽天的で、細かいことを引きずりません。
その日の気分で流れが変わります。おおらかさが魅力ですが、約束の重さの感じ方が人と違うことがあります。
辰月(4月・清明〜)――溢れる海原
春の終わり、土用の月です。辰は水を蔵します。
うねりを起こす壬です。自分が動くと、周りも一緒に動きます。人を巻き込む力が十干でも指折りの月です。
勝負どころで熱くなります。冷静なうちに退き際を決めておくと、この月の壬は強くなります。
夏に生まれた壬――渇きに向かう水
巳月(5月・立夏〜)――浅くなりはじめる水
夏の入口。火が強まり、水にとっては消耗の季節に入ります。
減っていく条件のなかで、深さを保とうとする壬です。表面の勢いより、内側に何を持っているかで勝負します。
考えることを厭いません。ただ、掘り下げすぎて話が戻ってこなくなることがあります。
午月(6月・芒種〜)――大地を潤す大河
真夏。火がもっとも強く、水がもっとも求められる月です。
必要とされる場所へ流れていく壬です。全体の流れを見て人を配置するのが上手で、まとめ役に押し上げられます。
ただし、渇きます。金(庚・辛)が命式にあるかが、この月の壬では決定的です。源があれば、いくら与えても枯れません。なければ、求められるままに出し続けて干上がります。自分に注いでくれるものを持てるかどうかが、生涯のテーマになりやすい人です。
なお、まとめ役を引き受けながら、心のどこかで自由へ戻りたがっているのも、この月の壬らしいところです。
未月(7月・小暑〜)――堤に守られた湖
夏の終わり、乾いた土用の月です。
蓄えて活かす壬です。大きく見えて、実は堅実。使うところと締めるところを分けています。
派手に構えているぶん、細かい出費を渋る姿がちぐはぐに映ることがあります。本人のなかでは筋が通っています。
秋に生まれた壬――知恵を湛える水
申月(8月・立秋〜)――源を得た海
秋の始まり。金が水を生じ、壬に水源が与えられる月です。
入ってくるものが増えるので、器が大きくなります。何を考えているか読めないところがあり、周囲からは大物に見えます。
本人に気負いはありません。ただ、底が見えないので、近づき方が分からないと思われることがあります。
酉月(9月・白露〜)――澄んだ秋の湖
秋のまん中。金の気が強く、水がもっとも澄む月です。
知恵が湧き続ける壬です。相談を持ちかけられることが多く、聞くだけで相手が整理されていきます。
興味が広く、いろいろな分野に手が届きます。そのぶん、一つを掘り切る前に次へ移りやすい人でもあります。
戌月(10月・寒露〜)――静まる晩秋の湖
秋の終わり、乾いた土用の月です。
深さを内に置く壬です。土に囲まれて流れが止まるので、動くより蓄えるほうへ向かいます。
計画を立てて実行する力があります。反面、いったん決めた形を崩すのに時間がかかります。
冬に生まれた壬――満ちる海
亥月(11月・立冬〜)――満ちはじめる大海
冬の入口。壬にとって自分の季節が始まります。
力が満ちてきて、動きが大きくなります。荒れた状況でも沈まない胆力があり、人を潤す余裕も戻ります。
のびやかで、細かいことを気にしません。おおらかさが、そのまま人を集めます。
子月(12月・大雪〜)――冬の静寂に満ちる海
真冬。水がもっとも強い、壬の本領の月です。
己の深さだけで立つ壬です。誰にも寄りかからず、内側の蓄積で勝負します。器の大きさは十二ヶ月でも随一です。
ただし水が強すぎると、行き場のない大水になります。土(戊)で堰き止められるか、火(丙)で暖められるかが読みどころです。流れる先のある壬は、同じ量でも荒れません。
丑月(1月・小寒〜)――凍土を割る大河
冬の終わり、凍りついた土用の月です。
止まらない壬です。凍りついた地面を割ってでも、流れる先へ進みます。
周囲を巻き込む力があります。動き出したときの推進力が強いぶん、行き先を決めてから動きたい人です。
同じ月でも、同じにはならない
ここまで12ヶ月を見てきましたが、「同じ月に生まれた壬は全員同じ」ではありません。
月支のほかにも、
- 命式全体に金がどれだけあるか(水源が続くか)
- 土があるか(流れを治める堤があるか)
- 火が届いているか(凍らずに動けるか)
こうした条件が重なって、ようやくその人の水の姿が決まります。
さらに、月支の奥にはもう一段深い読み方があり、そこまで見ると同じ「冬の壬」でも、まったく違う人物像が浮かび上がります。
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まとめ
| 季節 | 月 | 壬の姿 |
|---|---|---|
| 春 | 寅・卯・辰 | 流れ出す水。人を巻き込む |
| 夏 | 巳・午・未 | 渇きに向かう水。源があるかが鍵 |
| 秋 | 申・酉・戌 | 知恵を湛える湖。深みが増す |
| 冬 | 亥・子・丑 | 満ちる海。堤と暖があるかが鍵 |
壬という日干は同じでも、生まれ月が変われば、流れ方も、役割も変わります。
自分がどの季節の水なのかを知ると、「なぜ自分はこの環境で苦しいのか」「なぜあの場所では楽だったのか」の理由が見えてくることがあります。
四柱推命は、このように日干と月支を土台にしながら、そこへ大運の巡り、干支どうしの特殊な変化、五行のバランスといった様々な要素を重ねて読んでいきます。そうして、いま巡っている運があなたの望む方向と沿っているのかを見極めていきます。