生まれ月でみる日干「乙」
日干が乙の人を読むとき、生まれた月をあわせて見ると、輪郭が一気にはっきりします。
乙は「陰の木」、地を這い、風に揺れながら伸びていく草花・蔓草です。けれど同じ草でも、春の野に咲く花と、凍土の下で春を待つ草では、まったく違う姿になります。
「日干『乙』の性格」を読んで、当たっている部分とそうでもない部分があると感じた方――その理由は、たいてい生まれ月にあります。
なぜ月で変わるのか
四柱推命では、生まれた月を月支(げっし)といい、その人が置かれた「季節」を表します。
草花にとって季節は、そのまま生きる条件です。
- 陽は届いているか(春夏は十分、冬は乏しい)
- 水は足りているか(多すぎれば根が腐る)
- 風は強すぎないか(金の気が強いと折られる)
乙は甲と違い、一本の力で立つのではなく、環境に合わせて伸びる木です。だからこそ、どんな場所に生えたかが、そのまま生き方に出ます。
春に生まれた乙――自分の季節
寅月(2月・立春〜)――伸びはじめる蔓草
春の入口。木の気が動き出す月です。
確実に、着実に伸びる乙です。派手さより堅実さ。細やかに気を配り、周囲の状況を見ながら自分の巻きつく場所を探します。管理能力に長けた人が多くいます。
一方で、慎重さが心配性として出ることもあります。
卯月(3月・啓蟄〜)――野を染める草花
春のまん中。乙にとってもっとも力の出る月です。
誰とでもうまくやれる乙です。柔らかく人の懐に入り、必要なときには人の力を上手に借ります。大地を染めるように、気づけば広い範囲に影響を及ぼしています。
柔らかいのに、折れない。しなやかな芯を持ちながら、実のところ意外と頑固な一面もあります。
辰月(4月・清明〜)――蔓を巡らせる草
春の終わり、潤った土の月。伸びるには絶好の条件です。
のびやかに広がる乙です。巻きつく先を選ばず、どこへでも蔓を伸ばしていけます。
ただし辰は水を蔵する土なので、水が多い命式だと根が浮きます。広がりすぎて、どこにも定着しないまま季節が過ぎることがあります。
夏に生まれた乙――咲き誇り、渇く草
巳月(5月・立夏〜)――葉を重ねる草
夏の入口。火の気が立ち上がります。
丁寧に葉を重ねて育つ乙です。礼儀正しく、和を保つ責任感が強い。周囲との調和を大切にし、荒立てることを避けます。
その分、「いい人」をやめられず、抱え込みやすい傾向があります。
午月(6月・芒種〜)――炎天下に咲く花
真夏。もっとも陽の強い月です。
自らの色で野を染め上げる乙です。美意識と観察眼が鋭く、センスの良さが際立ちます。社交上手で、人脈を編む力にも恵まれます。
ただし、渇きます。火が強すぎる命式では、水(癸・壬)があるかどうかで印象が大きく変わります。水があれば潤いのある華やかさに、なければ気を張り続けて消耗しやすくなります。
未月(7月・小暑〜)――晩夏の草
夏の終わり、乾いた土用の月。
日常を楽しむ感性を持つ乙です。ふんわりとした癒しの空気をまとい、周囲をなごませます。
乾いた土に立つので、見た目より根は強く張っています。柔らかく見えて、必要な場面では誰にも寄りかからずに立てる人です。
秋に生まれた乙――実を守る草
申月(8月・立秋〜)――実りを守る蔓草
秋の始まり。金の気が立ち上がり、木を剋す季節に入ります。
確かな実りを凛と守り続ける乙です。厳しい風のなかでも、抱えたものを手放しません。素直に吸収する力があり、聞き上手な人が多くいます。
金が強すぎる命式なら、火(丙・丁)で和らげられるかが読みどころです。
酉月(9月・白露〜)――風雨に耐える野の花
秋のまん中。金の気がもっとも強い月です。
か細く見えて、しぶとい乙です。風雨に揺れても実を守り抜きます。踏まれても立ち上がる力があり、そのしなやかさは甲の剛さとは別種の強さです。
ただし、無理を笑顔で隠しがちです。耐えることが上手すぎて、限界に気づかれないことがあります。
戌月(10月・寒露〜)――甘い実りを宿す草
秋の終わり、乾いた土用の月。
色づく季節の風を喜ぶ乙です。たわわに実を宿し、収穫を味わう余裕があります。守る力と、日々を楽しむ感性が同居している人です。
冬に生まれた乙――雪の下で待つ草
亥月(11月・立冬〜)――深く根を張る蔓草
冬の入口。水の気が立ち上がります。
亥は木を生じる支なので、根に水が届いている乙です。静まる大地に深く根を張り、来たる実りを守り続けます。堅実で、細やかな気配りができる人です。
子月(12月・大雪〜)――雪の庭の草花
真冬。もっとも寒さの厳しい季節に向かう月です。
見えない芽吹きを、ひそかに育む乙です。深い雪の下で、静かに力を蓄えています。素直に吸収する力があり、聞き上手で癒しを与える人が多くいます。
寒さが強いので、火(丙)で暖を取れるかが生涯のテーマになりやすい月です。気にしすぎて疲れやすい面もあります。
丑月(1月・小寒〜)――凍土の下の草
冬の終わり、凍りついた土用の月。
折れぬ力を静かに育む乙です。誰にも知られない場所で、春を待って準備を続けます。
動けない時間が長いぶん、内側に独特の感性が育ちます。人と同じ道を通っていないので、つかみどころがないと言われることの多い人です。
同じ月でも、同じにはならない
ここまで12ヶ月を見てきましたが、「同じ月に生まれた乙は全員同じ」ではありません。
月支のほかにも、
- 命式全体に水がどれだけあるか(渇いた草か、潤った草か)
- 火が届いているか(凍えた草か、暖かい草か)
- 金がどれだけ強いか(風に晒されているか、守られているか)
こうした条件が重なって、ようやくその人の草花の姿が決まります。
さらに、月支の奥にはもう一段深い読み方があり、そこまで見ると同じ「冬の乙」でも、まったく違う人物像が浮かび上がります。
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まとめ
| 季節 | 月 | 乙の姿 |
|---|---|---|
| 春 | 寅・卯・辰 | 自分の季節。柔らかく広がる |
| 夏 | 巳・午・未 | 咲き誇る。渇きへの備えが要る |
| 秋 | 申・酉・戌 | 実を守る。しぶとさが際立つ |
| 冬 | 亥・子・丑 | 雪の下で待つ。暖を取れるかが鍵 |
乙という日干は同じでも、生まれ月が変われば、必要なものも、伸び方も変わります。
自分がどの季節の草花なのかを知ると、「なぜ自分はこの環境で苦しいのか」「なぜあの場所では楽だったのか」の理由が見えてくることがあります。
四柱推命は、このように日干と月支を土台にしながら、そこへ大運の巡り、干支どうしの特殊な変化、五行のバランスといった様々な要素を重ねて読んでいきます。そうして、いま巡っている運があなたの望む方向と沿っているのかを見極めていきます。